3.8後楽園ホールで行われた”NEW JAPAN CUP”の一回戦。
メインカードで行われた
永田裕志対石井智宏
ファンの期待通りの、ゴツゴツでバチバチなぶつかり合い、しばき合い、意地の張り合いとなりました。
結果は石井智宏の勝利でしたが、両者が魅せた”プロレス”は、勝った負けたではなくファンの心に響くものだったと思います。
毎回この2人の試合はハズレなしだけど、本当に熱くて面白い試合でした。
ストロングスタイルって何だ
試合前に永田は
「ストロングスタイルにこだわりがある。墓場まで持っていく」
と語っていたとか。
ストロングスタイルとはアントニオ猪木が提唱した「強さ」を前面に打ち出したスタイル。
「プロレスラーは強くなくてはならない」
多くのファンがそう信じている時代がありました。
僕自身は小学生の頃、95年あたりからのプロレスしか知りません。もちろん過去映像だったりとかは見ているけど。
あの当時も多くのファンが「プロレスラーは強い」と信じていたように思います。
少なくとも僕は子供だった事もありプロレスは「闘い」でしかなかったし、プロレスラーが最強だと思っていました。
だからこそ、総合格闘技のリングでプロレスラーがあっさりと負けた時は本当にショックだったし
「プロレスラー弱いじゃん!」という声も沢山上がりました。
永田裕志や中邑真輔はストロングスタイルを
「闘いにおける感情をストレートに吐き出す事」
という風に解釈していると語っています。
棚橋弘至は昔、ユークス体制に移り、脱猪木を目指す中での中邑の”猪木”発言に対し
「ストロングスタイルの呪い」
「ストロングスタイルはただの言葉」
と語りました。
ストロングスタイルは何なのか?人それぞれ感じ方は違うかもしれません。
しかし、永田と石井のこの試合は、
”ストロングスタイル”
という言葉を連想させるような、オールドファンにとってはまさに
”これ!これ!!”
と言いたくなるような試合だったと思います。
永田と石井2人の生き様
永田といえば第三世代の1人。
上には闘魂三銃士がいましたから、自分たちがプッシュされ、比べられていく中で苦悩も多かったはず。
永田が総合格闘技に挑戦したのも、猪木に言われてという部分もあったけれど、武藤敬司という存在が1番大きかったという話しがあります。

一方で、石井は天龍の元でデビューし、その後、長州に自ら弟子入り志願した経緯があります。
長州は練習を重んじる選手である事は有名です。
それに、170cmしかない石井がヘビー級でやっていくにはそれこそトレーニングにトレーニングを重ね続けた事でしょう。
修羅場をくぐり抜けた2人だからこそ、お互いを心おきなくぶつけ合えたんだと思います。
試合後、マイクはなくても、石井が永田に水をかけた事でファンは納得しました。
バックステージで石井はこう語っています。
体力が低下したから一線退いたわけじゃねえ? 50代でIWGPチャンピオン?
ふざけんな! 笑かすな! そのためになんかやったのか、あいつは?
なんか行動したか? 何もしてねえだろう。なんかアピールしたか?
おい、現状に満足してねえんなら、なんで打って出ねえんだよ。
俺はよ、あいつみてえによ、自ら『G1』辞退したり、後輩に道を譲ったりしねえからな。
50だよな? まだ遅くねえ。もう一回気持ち入れかえて俺んところに来いよ。
もう一回胸貸してやる。
永田に言っとけよ。43のグリーンボーイからのメッセージって
引用:新日本プロレス
熱すぎますよね。
やっぱりプロレスいいよなぁと改めて感じる試合、そしてコメントだったと思います。
無骨なファイトスタイルを貫き、バチバチに打たれて、ある意味では負けながらプロレスラーとしての格をあげてきた石井が送った永田へのエール。
2人の関係にも、試合にも胸が熱くなる。
そんなNEW JAPAN CUP2019の1回戦でした。
こちらからは、以上です。